■お知らせ

 

  研究室訪問や実験室見学のご希望がありましたら,お気軽に担当(テクトニクス講座 堤)までメールにてご連絡ください.

tsutsumi@kueps.kyoto-u.ac.jp

 

 

  断層形成や断層の変形構造などの研究について、簡単な解説・紹介をしています。

地球惑星科学専攻HP  「はじめての地球惑星科学」

No 6. 岩石の変形構造を読む ーセンスが大切―

 

 

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■研究室の概要

 我々の研究室では,主に断層や付加体物質の変形にまつわる様々な地質現象を対象とした研究を行っています.断層や付加体物質の摩擦特性,透水性などの性質は,地震の発生機構,石油・天然ガスの断層シール問題,地球内物質の大循環など,学問的にも社会的にも非常に重要な問題と関連しています.この研究室では,野外に出向いて天然の岩石変形の様子に触れ,その産状,組織をじっくり観察・記載し,持ち帰った試料を使って様々な条件下での変形実験を行うことでその変形を再現し,地殻物質の力学的性質あるいは,透水性など水理学的性質を明らかにするための総合的研究を行っています.最近の研究の実例としては

 

n  高速域を含めた断層の摩擦特性に関する実験的研究

n  沈み込み帯プレート境界断層の摩擦特性に関する実験的研究

n  石英質物質の摩擦の物理に関する実験的研究

n  IODP研究航海(南海トラフ,コスタリカ地震発生帯掘削計画)への参加

n  野島断層,柳ヶ瀬断層,根尾谷断層などの断層帯の内部構造解析および透水構造の決定

 

などが進行中です.さらに,これら力学的性質を組み込んで断層変形をモデル化することで,プレート沈み込み帯における地震発生の機構を理解することを目的とした共同研究もすすめています.また,より将来的には,岩石変形と流体移動をテクトニクス、自然災害、地球環境問題の基盤と位置づけた研究をめざしています.

 

 

 

 

 

■研究室の特色

研究室では,地震時の断層変位速度に相当する速度領域での摩擦実験を行うことのできる中―高速摩擦試験機,高圧条件下での岩石変形に関する力学的特性や透水性などに関する実験を精度良く行うことのできる高圧変形透水試験機,高圧下での剪断実験を行うことのできる高圧ねじり剪断試験機など,世界的にみてもユニークな変形試験機を数多く有しています.野外における調査研究と,これら独自の変形試験機を用いた実験的研究を研究の両輪としている点が研究室の特色です.

 フィールド調査の醍醐味は,例えば,隆起・削剥を経て現在地表に露出する深部断層岩(かつて地殻深部にあった断層岩)の変形を調べることで,震源域における岩石の変形にじかに触れることができる点にあります.断層露頭や断層岩中の変形組織を解析することで,かつての断層変位の回数,あるいは断層のズレのセンスなどの重要な情報を抽出することができるのです.一方で,天然の観察で得られた情報のみから,断層のすべり軟化距離,摩擦係数の速度依存性などの力学的性質,あるいは岩石変形に伴う内部構造の変化と岩石の透水性変化などの動的性質を読み取ることはできません.これらは,例えば摩擦構成則(岩石摩擦を記述する応力―歪の構成関係)により地震発生過程における断層の動き記述し,それに基づいて断層の将来の動きを予測する上で重要な性質です.このような性質を調べるためには,その目的に応じた試験機を開発し,変形のさまざまな性質を実験で求める必要があります.

 

以上のように,我々の研究室では(1)野外で観察される変形を実験室で再現し,(2)その実験で変形の力学的性質を明らかにし,(3)明らかにした性質を用いて変形をモデル化・解析することで地震などの発生機構を解明することを目的とした研究をすすめています.さらに,新たな試験機を設計・開発し,システムを軌道にのせることも重要な研究活動の一つであると考えています.

 

 

 

その他

 


 

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