断層粘土を使った年代測定 
-日本、韓国、ヨーロッパ、オーストラリアの断層粘土への適用

Prof. Horst Zwingmann ホースト ツヴィングマン教授


 ネオテクトニクス(Neotechtonics)に関係した地球表層の変形作用はBrittle 断層と密接な関係がある。断層面の移動は多くの場合岩石砕屑物と自生(Authigenic)イライトからなる断層ガウジの発達を伴う。これまでの研究によって、同位体による年代測定の手法を使ってBrittle 断層の歴史の絶対的な時間の決定ができるのではという期待が出てきた。ただ、地殻の浅い部分の断層の年代測定の手法は今でもまだ研究の段階であり、その信頼性についてはまだ議論がある。 

 もっとも重要な問題の一つは、同位体測定の前段階の、岩屑性の(Detrital)粘土と、自生の(Authigenic)粘土の区別と分離である。自生あるいは新しく生成したイライトはカリウムを含みそのため K-Ar 年代測定の物差し(Geochronometer)として適している。自生のイライトは、K-Ar法で年代から堆積盆地の中で熱や流体の移動を制約したり、構造地質学では断層(Brittle Faulting)のプロセスの時間を決定していくのに応用できるので非常に興味深い。K-Ar同位体系をつかった、カリウム鉱物の年代測定は断層の(Brittle Faulting )関係する過程の絶対年代を決定するのに役立つのではと考えられている。

 断層の関係する過程とその時期、また、粘土が多い断層ガウジを理解することは、ほかにも応用することができる。たとえば(1)地震の評価 (2)炭化水素の探査 (断層が流体またはや炭化水素の通り道になったりトラップするように働くことがあるから。)(3)核廃棄物の貯留地の適正を調べる、などである。日本、韓国そしてヨーロッパ (アルプスとスカンジナビア)オーストラリアにおいて、ガウジのイライトをK-Ar法で年代測定する研究を進めている。